DESIGN PUBLIC

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INTRO

magazine for select your life

「DESIGN PUBLIC」では、
社会の中で価値が見出されていなかった物事を、
新たな価値としてデザインし、
発信している事例を紹介
していきます。
DESIGN PUBLICを通して、
その事例の根底にある想いが伝わり、
世の中に広がっていくことを願っています。

INFORMATION

 
 
 

vol.03 FLAG

フリーペーパー「FLAG」にみるデザイナーの紙ワザ。

外国人を対象に、大阪のアート&カルチャー情報を発信しているバイリンガル・フリーペーパー「FLAG(フラッグ)」。2009年より季刊としてはじまり、現在で10号が配布されている。発行しているのはデザイナーの後藤哲也さんとダンカンさん。ふたりは、西天満のビルに、クリエイーターのためのシェアオフィスと国際交流をテーマとした「OOO(out of office)」という独自のスペースを運営しており、FLAGの発行はその活動のひとつ。旬のイベントや展覧会、スペースの特集が組まれる「特集」やギャラリー情報、バトンを渡された人がおすすめの場所や人を紹介していくコラム「Baton relay」、若手のアーティストを紹介する「FLAGGED Artists」、スタッフ注目の展覧会&イベント情報「FLAG related event」を基本のコンテンツとし、季節とともに移り変わる大阪のアートシーンとその魅力をさまざまな方法で紹介していく。掲載広告にも独自の制作の仕事がみえる。まさに旗が町のあちこちにひらひらとつけられていくような(=FLAGGEDな)感覚や作り手や書き手の人物像が浮かび上がる誌面。
今回はFLAG編集部もかねる「OOO」におじゃました。そこは絵の中にいるようなスペース(あとで調べたたら、アーティスト・イン・レジデンスで製作した空間だった)。美味しい緑茶をいただきながら、後藤さんとダンカンさんに、あれこれと話を伺った。

外国人の視点から考えた、情報のニーズ。
自分たちの手で情報をデザインする。

海外とのつながりが豊かな後藤さんとダンカンさん。バイリンガルで大阪のアート・カルチャー情報を伝えるKANSAI ART BEATやKANSAI TIME OUT、そしてエルマガジンの休止により、独自の目線でまちの文化情報を発信する媒体がなくなったという危機感があった。小さな展覧会や民間発信のイベント情報は、大阪の旬なアート&カルチャーを知る大事な手がかりになり、ひいては大阪に外国人とのクリエイティブな交流を生むために必要だと考え、助成金が決まったこともあり、ネット環境がなくても情報にアクセスできる紙のフリーパーパーを、二人だけで創刊することになった。

自分と他者が重なる領域にある情報力。

「自分のサークル(=領域)と人のサークルを重ねて見えることや、外からの視点でものがどう見えているかに興味がある」という後藤さん。FLAGの記事は、新聞記者などプロの手もかりているが、執筆志願者も含めてFLAGの考えに賛同した人々たちが書く。書き手それぞれがおすすめの展覧会やイベントを紹介するコーナーでは、良い意味で個人個人の独断で選ばれた情報がずらっと並ぶ。情報を発信する時に、幅のある発信源をもっていることはとても重要であるし、その視点の幅だけ読者の層も広がる。連載コーナー「バトンリレー」では、NPOスタッフや、キュレーター、編集者、アーティストたちなどさまざまなバックグランドを持つ人々が毎回数珠つなぎ形式でプレゼンターとなり、大阪の隠れスポットや注目人物を3つずつ紹介していく記事。人が人をつなぎ、まちの魅力や資源を多角的に紹介していく。毎回のプレゼンターへの興味とともに、さまざまな人々で構成されている大阪という町のパワーをあらためて感じる。地域のネットワーク俯瞰図にもなりそうだ。FLAGの紙面には、ワークショップや企画を主催したり、スペースを運営している人間だからこそできることが場を紙に変えて行われているのだと思った。そのひとつが、2年という短い間に何度も変化している紙面の大きさ、形、装丁だ。まちの環境のうつりかわり、それを受けとめる繊細な身体センサーが働いているのを感じる。フォントがやや小さいが(笑)、それでも読みこんでしまうのは、作り手の野望や、変化しつづけていく面白さが存分に伝わってくるからだろう。

メディアがメディアになって、コトがおこる/めぐる。

協賛や広告収入による予算によって進んでいるため、あるときは潤沢に、その逆もしかりで製作が進む。そういった不安定な予算体制を楽しむかのように変化していくデザインは面白いし、かたまったイメージをいだかせないのもメディアとしてとても良いのではないかと思う。また単なるメディアにとどまらず、FLAGを介してコトがおこっていくことも注目したい。E間のギャラリー「d~ba」とのパートナーシップでは、ギャラリーの展覧会やアーティスト紹介をする紙面を企画構成することで、単なる広告協賛を得るだけでなく、アーティストを紹介したり,応援できる場をつくっている。またご近所のギャラリーや、ドイツ文化センターなど、海外の文化機関とのパートナーシップは、展覧会やアーティストとの共同企画を生み出したり、嬉しい関係を築いている。後藤さん達が企画するワークショップや展覧会の特集や広告を掲載していることもある。まるで他人の情報や広告かのように扱われているので、ちょっと笑ってしまうのだが、私のような企画をする側の人間としては、記事や広告を通していかに面白く伝えられるかのアイディアの宝庫にみえる。広告制作を依頼したくなる。つくった当人がみずからできあがったFLAGを携えて、配送もするそうだ。「チラシを配る先のギャラリーで展覧会が見られる」「その場所の人と話せるから」という素敵な下心が、配送という単なる労働ではおさまらないでいる。情報を運びながら、場所や人と出会い、そこで情報を得てアイディアや企画が生まれ、それをまた記事で伝え、運び、、、と循環していっている。人が動くことで情報が巡っていくのはとても健全なことだ。

内と外を往復する作業=デザイン。

自分達が必要だと思うことは何か?って考えるのは、意外に難しい。「これがいるでしょ!」「こうなんです」と一方的に言われているのが今の世の中。よくわからない巨大なものに自分の身体と人生を操られてはいないだろうか。そうした中で、自分達が知りたいと思う情報を素直に認識し、自らで動くことで、まちが振動していく状況をつくっている後藤さんやダンカンさんたちの活動はとても重要に思えた。また「業界や領域の外と内をつなぐ翻訳行為が僕にとってのデザイン」という後藤さんの発言に非常に納得した。ゆくゆくはこうしたデザインの力を農村社会の中でもいかしてもらう機会を狙いたいものだ。

PROFILE

FLAG(Foreigner’s Live Art Guide)
大阪の展覧会・アートイベント情報を英語と日本語のバイリンガル*で紹介する季刊のフリーペーパー。(*004号より)
OOOが編集・デザイン、出版のすべてを手掛ける。

OOO | http://www.outofoffice.jp/
クリエイター向けのシェアオフィスと、ワークショップやセミナーなどを行うオープンスペースの
2スペースで構成されるオルタナティブワークスペース。
いわゆる”オフィス”ではない、”Out Of Office”な場所として働き方を模索し、
個をつなぐ場所となることを目的に2008年4月より運営。
また、クリエイター向けのセミナーやワークショップ、そして英会話を中心に、
アートガイドFLAGの発行や、エキシビジョンの企画・運営、各種コーディネーションなども行ってる。

WRITER PROFILE

小鹿 由加里
ダンスカンパニーMonochrome Circusや京都国際ダンスワークショップフェスティバル制作などを通じ、
身体の知恵や創造力を社会とつなぐ。
最近は京都府北部の過疎地域における人材づくり事業にも関わり、
農村社会の人材や文化を活かした創造的農村づくりをめざしてます。

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